産声CD

 売れない歌謡曲の作曲家である私は、当然、食べるために違う仕事を持っている。
何をやっているかというと、契約している産婦人科医院の出産記念品として、
赤ちゃんの産声のCDを作っているのだ。
出産時の声を病院でカセットに録音してもらい、
そのテープを受け取って、ふさわしい部分を編集して、BGMやナレーション等を加えて
退院前に納品(3〜4日以内)する。
もうかれこれ、4000件近くは作っているだろう。
当然、赤ちゃんはいつ生まれるか分からないので、盆や正月をのぞいて旅行などは出来ないし、頭のすみに常に残っているので精神的に疲れる。
しかし、勝手に生まれてくれて、ある程度固定収入になるのだからありがたいものだ。
少子化で以前よりはだいぶ少なくなってしまったが、
4000件の出産に間接的にではあるが立ち会っていると、
妙に出産に詳しくなる。(笑)。泣き声で安産か、そうでないかもある程度分かってしまうから可笑しなものだ。そして、一番感じるのが女性への畏怖の念だ!。
女性って本当に凄い生き物だー!!。(出産に立ち会うパパさんの10人に1人は貧血起こしてぶっ倒れたりしてるのにねー(笑)。)
制作したものの中には感動的な録音も沢山ある。
(難産でようやく生まれた赤ちゃんの第一声にみんなが歓声を上げたりとか、、、、、)
あくまで作曲家業の補助的に始めた仕事ではあるけれど、お客さんに産声CD
子供が大きくなってもたまに聴いてますよとか言われると、けっこううれしかったりする。
もうひとつのライフワークとして、機会がゆるすならば、産声CD、4000件の中の
ベストテイク集なるものを作ってみたいものだ。